滋賀県長浜市には、古くから伝わる郷土料理「鯖そうめん」があります。甘辛く炊き込んだ鯖とそうめんが絶妙な逸品なのですが、よく考えると長浜市は琵琶湖に隣接する内陸の町なのに、なぜ海水魚の鯖が郷土料理として伝わっているのか?という疑問も。
本記事では、「鯖そうめん」のルーツや人気店「翼果楼(よかろう)」をご紹介します。
【翼果楼】長浜の郷土料理「鯖そうめん」をいただく〈滋賀県長浜市〉
長浜は豊臣秀吉が開拓した滋賀の地
滋賀県長浜市は、豊臣秀吉が「長浜城」を築城した地であり、秀吉が城持ち大名として本格的に出世コースを走り始めた地としても有名です。
長浜は、かつて「今浜」と呼ばれる土地でした。秀吉が浅井長政攻めの戦功として与えられた領地で、その際に秀吉が「今浜」から「長浜」に名を改めたと言われています。「長浜」は、秀吉が織田信長から一字もらったとの説もあります。長浜の市街地は秀吉の手によって城下町として整備されていきました。
長浜城は現在は資料館になっていますが、展望台から望む琵琶湖は絶景です。
長浜名物「鯖そうめん」とは
滋賀県長浜市周辺の湖北地方に伝わる郷土料理で、「鯖そうめん」「焼鯖そうめん」と呼ばれています。
湖北地方には、農家に嫁いだ娘に、親が娘を労って焼鯖を届ける「五月見舞い」という風習があります。五月は農繁期であり、落ち着いて食事もとれない娘家族のために焼鯖を届けたということから始まったもので、客人をもてなすハレの日の料理としても親しまれてきました。
琵琶湖に海水魚である鯖はいないのですが、昔は、若狭湾から京都に魚介を運ぶルート「鯖街道」が巡っており、その商流が湖北地方にも延びていたため、長浜にも鯖が流通していたようです。
「鯖そうめん」は、おかず的な位置づけ
「鯖そうめん」は、甘辛い出汁で鯖を煮込み、その煮汁でそうめんを炊き込み、茶褐色になったそうめんに鯖を乗せて食べるというシンプルな料理。味は濃いめに作られるため、ごはんのお供として成立します。農作業で疲れた体に、栄養と塩分を補給する料理として理にかなっています。
自宅でも鯖の缶詰などで再現できると思うので、今度チャレンジしてみようと思います。
人気店「翼果楼」で「鯖そうめん」をいただく
人気店「翼果楼(よかろう)」
「翼果楼(よかろう)」は、1990年にオープンした鯖そうめん専門店。
150年以上前の呉服屋を改装した店舗は、風情ある和の雰囲気を醸し出しており、地元の人々や旅行客等で絶えず行列ができる人気店です。
店舗があるエリアは「黒壁スクエア」という名称で、年間約200万人の観光客が訪れる湖北随一の観光スポットです。レトロな街並みとガラス芸術などが有名です。
鯖街道・焼鯖寿司付を食す
鯖街道・焼鯖寿司付(1,850円)を実食
名物の焼鯖そうめん、寄せ湯葉とうふ、焼鯖寿司、お吸い物、香の物が楽しめる逸品。鯖そうめんは、甘辛くしっかり味付けされたそうめんが食べ応えバツグンです。”めんつゆ”はなく、パツパツした麺を噛みきって食べるので、より味を楽しむことが出来ます。鯖は骨までホロホロに煮込まれていて素晴らしい味わい。焼鯖寿司も脂がのっており、アクセントの大葉がサッパリとしていて相性最高。
家事に農作業に忙殺される中、この料理が実家から届いたら、なんか感動するんだろうなぁと、当時の嫁いだ娘に思いを馳せつつ、長浜名物を堪能しました。
お店情報
住所:滋賀県長浜市元浜町7-8
営業:10:30~17:00(売り切れ次第終了)
休み:月曜日、祭日の場合は営業し翌日休み
※お店情報はブログ更新時点のものです。最新情報は公式サイト等でご確認ください。