「アルティメット」というスポーツをご存じですか?この質問に、恐らく半分近い方は「知らない」「聞いたことがない」と答えるかもしれません。
「アルティメット」って、実際にプレーしてみると、とても魅力的で楽しいスポーツなんです。世界的に競技人口を増やしており、ひょっとすると2028年のアメリカ・ロサンゼルス夏季オリンピックで追加競技として採用されるかもしれません。
そんな「アルティメット」の歴史や魅力を簡単にご紹介します。
【アルティメット】2028年オリンピックの追加競技候補”究極のスポーツ”
アルティメットとは?
アルティメット・・・直訳して「究極」という名のスポーツ。アルティメットは、フライングディスク(いわゆるフリスビー)を使って行う7人制の競技のことです。
一般的な球技には見られないフライングディスクの飛行特性、プレイヤーの走力や持久力、ジャンプ力や投球力など、様々なスポーツの要素・能力が組み合わさっているスポーツで、更にセルフジャッジで試合を行うことから、究極(Ultimate)という名前がついています。
フライングディスク(フリスビー)の歴史
フリスビーの発祥は、1940年代、アメリカ・コネチカット州のエール大学の学生が、キャンパス近くにある「フリスビー・パイ」というパイ屋さんの金属製のパイ皿を投げて遊んでいたこととされています。
その遊びを見たウォルター・フレデリック・モリソンが、プラスチック製の安全なディスクを作成し、「Frisbee(フリスビー)」という名前で商標登録・販売したことから、世界中に広まりました。
その後、フリスビーを使ったスポーツがいくつも誕生したことで、その競技を総称する形で「フライングディスク」という名称が1984年に制定されました。
現在、フライングディスクを使用した競技は12種類(世界公認11種+日本公認1種)あります。
アルティメットの歴史
アルティメットは、1968年にアメリカ・ニュージャージー州の当時高校生だったジョエル・シルバーが考案したスポーツで、コロンビア高校で最初のゲームが行われたとされています。
日本での普及は、JFDA(一般社団法人日本フライングディスク協会)公式HPを確認すると、1977年に第一回全日本アルティメット選手権大会が開催されているようですので、1970年代中頃に始まったと思われます。
2012年以降、中学校の保健体育のゴール型種目に採用されており、セルフジャッジに基づく対話で解決するというフェアプレー精神と、しっかりと運動量が確保できることなどから、小・中・高・大学の教育の場でも普及が進んでいます。
僕がプレーしていたのは10数年前の大学生の頃。当時は、大学生から始めるスポーツという印象でしたが、今ではもっと若い時からアルティメットに触れる機会が増えているようです。
2028年のオリンピック競技になるかも
アルティメットは、まだ歴史の浅いスポーツと言われますが、2028年のアメリカ・ロサンゼルスオリンピックの追加競技として選ばれる可能性があります。
これは、2015年に世界フライングディスク連盟(WFDF)が国際オリンピック委員会(IOC)に加盟したこと、そして、アメリカがメダルを取る可能性が高い競技だから、という要素が考えられています。
アルティメットの世界ランキング(2019年11月25日時点)は、1位アメリカ、2位カナダ、3位イギリス、4位ドイツ、5位日本となっています。
アメリカはアルティメット発祥の国かつ世界ランキング1位ですので、オリンピック競技に追加するなら2028年ロサンゼルス大会が最適だと思います。日本もメダルが狙える圏内なので、採用されるとかなり面白くなりそうです。
アルティメットってどうやるの?
ルール(動画あり)
アルティメットは、100×37メートルのフィールド上で、フライングディスクを落とさずに味方へパスをつなぎ、コート両端のエンドゾーン(ゴールエリア)内でパスをキャッチすれば得点となる7人制のスポーツです。図のような基本ルールがあり、通常は17点先取の得点制で勝敗を決定し、試合時間は前後半50分の計100分で、結構長いです・・・。
もう少しイメージしやすく説明すると、「サッカーコートより一回り小さいフィールドで、7人対7人でアメフトっぽくディスクを落とさずにパスを回し、ラグビーのトライエリアみたいなスペースにいる味方にパスがつながれば1点。バスケみたいにディスクを持っている人は動いちゃダメ。接触プレーは禁止。審判がいない。」という感じでしょうか・・・。
説明するより映像で見るのが一番手っ取り早いです!JFDAの公式YouTubeチャンネルに競技紹介動画がありますのでご紹介します。
おもしろいの?(動画あり)
アルティメットは、はっきり言って超面白いです!
ボールではなく、円盤型のフライングディスクを扱うということが、面白さの根源になっています。ボールの動きは、物理の法則に則ってある程度予測できるものですが、このフライングディスクは、175グラムと軽く、風の影響をモロに受けます。そのため、投げた際に、追い風に乗ってすごい飛距離になったり、風に煽られていきなり浮いたり、角度をつけるととんでもなくカーブしたり、プレイヤーの力量次第で、常識を超えた動きを与えることができます。球技とは一味違う魅力がアルティメットにはあります。
また、フライングディスクを投げるのも面白いですが、キャッチするプレーもダイナミックで魅力的です。実は、試合でキャーキャー言われるのは、投げる人よりもキャッチして得点する人です(笑)。
ディフェンスとギリギリの所で競り勝ってキャッチする姿は、まさしく「究極(アルティメット)」の名前にふさわしい名シーンになります。
JFDAの公式YouTubeチャンネルの
すぐできるの?
映像をご覧いただくと、かなり激しいスポーツだということがわかるかと思います。ですが、ここまで本格的に激しくプレーしなくても、実際に中学校の保健体育で採用されている通り、誰でも楽しむことができるスポーツです。また、フライングディスクさえあれば始められるという手軽さも魅力のひとつ。
まずは、フライングディスクを目標めがけて真っすぐ投げられるようになることが第一で、次はカーブさせてみたり、フワッと投げてみたり、バリエーションを増やしていきます。テニスのバックハンド、フォアハンドのように、投げ方にも種類があります。頭上から垂直に投げるハンマーという面白い投げ方もあります。
フライングディスクの独特な動きが、通常の球技とは異なるワクワク感を生み出してくれます。昨今の保健体育ではどういう風に教えているのか気になりますね・・・。
筆者の体験談
僕は、大学生の4年間アルティメットをしていました。中学・高校はバスケ部で汗を流しましたが、「大学では体育会系ではなく、緩やかにスポーツを楽しみたいなぁ」という安易な考えのもと、アルティメットのサークルに出会いました。
これまでの人生で見たことがないスポーツで、「みんな大学で知って、大学から始めるからスポーツだから安心して。サークルは男女仲良くワイワイやって楽しいよ。ひょっとすると全国1位目指せちゃうよ。」という勧誘文句、そして、フライングディスクを投げたときの味わったことのない楽しさからサークル加入を決意。
やればやるほどのめり込み、向上心の強いチームメイトにも恵まれ、蓋を開けてみれば、体育会系の部活のごとく週5日間ガッツリ練習、スタミナをつけるために自宅から練習場まで片道1時間パワーアンクルをつけて自転車を漕ぐ、大学の休み時間はグラウンドでひたすらディスクを投げるなど、ほぼアルティメット漬けの毎日を過ごしていました。
結果的に、僕が所属するサークルは強豪チームの仲間入りをし、
社会人になってからは、転勤などの都合もありアルティメットからは遠ざかってしまいましたが、今でもディスクが家に保管してあるので、子ども達が大きくなったら公園で遊びたいなと密かに計画しています。また、当時サークル内でお付き合いしていた女性が、現在の妻だったりします。
まとめ
アルティメットは、その名の通り様々なスポーツの要素を詰め込んだ「究極(Ultimate)」なスポーツです。
フライングディスク(フリスビー)を使った特徴的なスポーツですが、教育現場で保健体育に取り入れられるなど、日本国内でも普及が進んでいます。
ひょっとすると、2028年のロサンゼルスオリンピックの追加競技に選ばれるかもしれないので、今後ますます目が離せないスポーツです。
※各情報の出典は、JFDAの公式HPより