日本の象徴の一つである「お城」。かつて、日本全国には2万5千以上ものお城があったと言われており、現在でも見学可能なお城は200ほど。
お城をめぐると、その建築美に魅せられるのは勿論のこと、築城の背景や当時の文化、それらに関わる人々の想いなどを感じることが出来ます。
そんなお城について、名古屋周辺で行っておきたいお城10選をご紹介します(番外編あり)。お城めぐりに興味がある方の参考になれば幸いです。
【日本のお城】名古屋周辺のお城めぐり!行って良かったおすすめ10選
愛知県、岐阜県、滋賀県の順番にお城をご紹介します。全部行ったことがある方は、かなりのお城ファンだと思います!
1.名古屋城(愛知県名古屋市中区)
名古屋の象徴ともいえる徳川家康が築いたお城。「近世城郭の到達点」と評価され、1952年(昭和27)に国の特別史跡に指定されています。
現在の名古屋城がある地は、室町時代から那古野城というお城があり、かつては尾張の織田信長も居城としていました。
天守閣は、史上最大級の延床面積を誇った五層五階地下一階の建造物で、最上部には尾張藩の権威の象徴として有名な「金の鯱」があります。
現在のお城は鉄筋コンクリート造りで再建されたものですが、それも50年以上の月日が経過し、耐震性の問題から閉館となっています。
2018年に復元された「本丸御殿」は圧巻の美しさで、隅々まで見学することができます。
2.国宝・犬山城(愛知県犬山市)
個人的に最も好きで何度も訪れている犬山城。
江戸時代までに建造された「現存天守12城」の一つであり、天守が国宝に指定されている「国宝5城」でもあります。
かつて尾張国と美濃国の境(現在の愛知県と岐阜県の境)の木曽川南岸に位置し、木造の望楼型・三重四階地下二階の天守は、タイムスリップしたような感覚を味わうことができます。
天文6年(1537)に、織田信長の叔父・織田信康が築城したと言われており、江戸時代城主だった成瀬家が、明治から平成まで代々個人所有してお城を守り抜いてきたというのも犬山城の特徴的なエピソードです。
天守から望む木曽川の美しさ、そして眼下に広がる尾張と美濃の景色に心洗われます。天守は真夏でも涼しい風が通り、時間を忘れて景色を眺めてしまいます。
犬山城は、城下町も栄えていて、様々なお土産やグルメを楽しむこともできます。
3.清州城(愛知県清須市)
清州城は、織田信長が桶狭間の戦いに出陣した「天下布武の出発点」として、また、本能寺の変による織田信長の死後、後継者を決める会議「清須会議」の舞台として選ばれたことでも有名です。
尾張国春日井郡清須にあったお城で、模擬天守・資料館として平成元年(1989)に建築されたものです。当時の天守は、現在の天守とは若干違う場所にあったそうです。
資料館とはいえ、天守の外観は美しく、すぐ隣に流れる五条川にかかる大手橋から撮る写真も絵になります。早朝や夕方がおススメ。
4.岡崎城(愛知県岡崎市)
天守は、昭和34年(1959)に三層五階建てで復興されたもので資料館になっています。平成18年(2006)には「日本100名城」に選定されました。
徳川家康(幼名・竹千代)は、岡崎城で生まれますが、5歳で人質として城を出ることとなり、今川義元が織田信長に討たれた13年後、ようやく岡崎城を取り戻します。その後、居城を浜松に移すまでの10年間を岡崎城で過ごし、三河平定に尽力します。
岡崎城のすぐ隣には「龍城神社」があり、徳川家康を祭神として本多忠勝を祀っています。パワースポットとしても有名です。
5.岐阜城(岐阜県岐阜市)
美濃国井之口の山「稲葉山(現在の金華山)」にあった山城で、かつては稲葉山城と呼ばれていました。
美濃のマムシ・斎藤道三と織田信長の居城として知られるお城で、現在のお城は昭和31年(1956年)に復興された鉄筋コンクリート造り三層四階の模擬天守です。
織田信長が美濃を平定した際、城下の「井之口」という地名を「岐阜」に改め、同時に「稲葉山城」を「岐阜城」と改めたといわれています。「岐阜」は中国の故事にならった縁起のいい地名で、信長自らが選んだ名前とのこと。
岐阜城は標高329メートルの山頂に位置し、ロープウェイに乗り、その後10分ほど山頂に歩くと到着します。登山コースもあり、1時間ほどかかります。登山コースは、軽装ではケガの恐れがあるため、しっかりした準備が必要です。
天守から望む景色は雄大そのもので、「美濃を制すものは天下を制す」を体感することができます。
山城って、こちらに迫ってくるような不思議な迫力があります。
6.郡上八幡城(岐阜県郡上市)
岐阜県郡上市八幡町柳町にある山城で、戦国時代末期の永禄2年(1559)に遠藤盛数が築いた城といわれています。
現在の天守は、昭和8年(1933)に再建された木造の模擬天守。しかし、再建後80年という年月が経過し、「日本最古の木造再建城」として新たな歴史を刻み続けているお城です。「続日本100名城」第141番に選定されています。
八幡山の標高354mの山頂に築かれた天守からは、岐阜城とは異なり山脈が連なる美しい緑の景色を見ることができます。特に紅葉の季節が美しいと評判のお城です。
7.大垣城(岐阜県大垣市)
水の都・大垣にある平城で、関ケ原の戦いで西軍・石田三成の本拠地となったことで有名です。現在の天守は、戦火で焼失した後、昭和34年(1959)に再建された四層四階の模擬天守で、中は資料館になっています。
元の大垣城は、水堀を幾重にもめぐらせた堅城で、現在の3倍もの敷地の広さの城だったと言われています。
大垣市民に古くから愛される白が映えるお城で、「続日本100名城」第144番に選定されています。
8.墨俣一夜城(岐阜県大垣市)
永禄9年(1566)に、木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)が、一夜にして築いたと言われる「墨俣一夜城」。秀吉の出世のきっかけとなった城としても知られています。
織田信長の美濃侵攻の際、秀吉の指示で長良川の上流から材木を流し、一夜にして敵陣中に城を築いたというストーリーなのですが、後の研究によると史実には「墨俣一夜城」に関する明確な記述がないそうで、太閤・秀吉の語る上での伝説の一つのようです。
大垣城の天守を模した墨俣一夜城歴史資料館が建てられています。また、長良川にかかる「太閤出世橋」を渡ると出世するとかしないとか。。。
周囲に高い建造物などもないため、趣のある景色は素晴らしいです。
9.国宝・彦根城(滋賀県彦根市)
言わずとしてた彦根市にある国宝・彦根城。ゆるキャラ「ひこにゃん」も有名です。
井伊直継・直孝によって約20年をかけ、元和8年(1622)に完成した城で、江戸時代までに建造された「現存天守12城」の一つであり、天守が国宝に指定されている「国宝5城」でもあります。
彦根山の山頂にある天守は三層三階地下一階建てで、階層で異なる屋根の破風などが特徴的です。また、城内付近の庭園・玄宮園なども有名で、山頂にある天守を素晴らしい景色と共に楽しむことができます。
歴史資料館なども充実しており、「井伊の赤備え」の甲冑(レプリカ)などを見ながら、当時に思いを馳せることができます。
10.長浜城(滋賀県長浜市)
琵琶湖沿岸に建つ、「豊臣秀吉の出世城」として知られる長浜城。
浅井長政攻めの功として織田信長から与えられた土地「今浜」を、信長から一字取り「長浜」と改め、豊臣秀吉が最初に築いた居城が「長浜城」です。
今のお城は昭和58年(1983)に犬山城や伏見城をモデルに建造された模擬天守となっており、中は歴史資料館になっています。
最上階天守から見下ろす琵琶湖の雄大な景色は圧巻で、戦国時代の豊臣秀吉も同じ琵琶湖を望んでいたのかなと空想することができます。
【番外編】せっかくならこのお城も行っておきたい!
1.安土城跡(滋賀県近江八幡市)
織田信長が安土・桃山時代の幕開けとともに築城した、安土山一帯に建てられたお城です。織田信長が本能寺の変で没後、謎の火災により建築物は焼失し、現在は石垣や礎石のみが残っている城跡です。国の「特別史跡」に指定されています。
天下統一目前だった織田信長が、岐阜城よりも京(天皇)に近い立地で建てたお城で、戦国時代の「戦うための城」ではなく、当時の最高の建築家らを結集させ、芸術的かつ圧倒的なスケール・美しさで建てた信長の集大成ともいえるお城です。資料などで復元イメージは目にすることがありますが、叶うことなら本物を肉眼で見てみたかったです。
山頂にある安土城の天主台跡(安土城だけは天守ではなく天主と表記する)の礎石までは、ひたすら当時作られた石垣の階段を上る必要があり、かなりの重労働になります。
安土山の中腹には家臣の家屋が並んでおり、秀吉が住んでいたとされる「伝羽柴秀吉邸」があります。ここの石垣の規模だけでも、小規模なお城に匹敵しそうな迫力があります。また、室町時代に建てられたといわれる「三重塔」なども山中で見ることができます。
謎の焼失というミステリー、そして安土山全体が、突如として幕を閉じ、時代に取り残されてそこに居続けているような、不思議なオーラを感じることができる城跡です。
2.徳川園(愛知県名古屋市東区)
最後はお城ではないのですが、名古屋市内にある美しい日本庭園ですのでおススメです。
徳川園は、尾張藩二代藩主・徳川光友が元禄8年(1695)に造営した隠居所・大曽根屋敷跡に位置し、現在の日本庭園となったのは平成17年(2005)です。
隣接する徳川美術館では、国宝の「源氏物語絵巻」や徳川家康の遺愛品など、様々な大名道具の名品を見ることができます。
庭園は美しく整備されており、お散歩するととてもリフレッシュできます。
まとめ
名古屋周辺は、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の三英傑が戦国時代に駆け抜けたゆかりの土地であり、名だたるお城が数多く存在します。
近年、お城めぐりはブームになっており、テレビ番組や雑誌で度々特集が組まれ、日本のお城の人気が高まっています。
お城めぐりは、何度行っても新しい発見や気づきがあるのが魅力であり、「これがあの○○か!」と学生時代に学んだ日本史の知識と実物が一致すると、大人になってようやく答え合わせができたみたいで感動します。
時間ができたら、日本全国のお城もめぐってみたいですし、少なくとも「現存天守12城」「国宝5城」はコンプリートしたいと思います。